特集すごいね! 和泉市久保惣記念美術館。

大阪府和泉市の中西部にある、和泉市久保惣記念美術館。このミュージアムがある内田町は、かつて綿業が盛んだったところで、美術館の名前の一部になっている久保惣とは、久保惣太郎氏が代表を務めていた会社です。

和泉市久保惣記念美術館は、もともと久保惣太郎氏の邸宅だった広大で趣のある敷地と、会社工場跡地に建てられています。白壁と大和瓦で葺いた大きな切妻屋根を生かした数寄屋風の本館には、3つの企画展示室と中国石造美術展示室があり、図書室とラウンジも利用できます。

平成9年に開館した新館は、中国の工芸品と西洋近代美術を展示する2つの展示室があり、ティールームとミュージアムショップも併設。そのほか、コンサートが行われるEi(アイ)ホール、個人やグループによるさまざまな展覧会を催す市民ギャラリー、そして庭園、茶室などもそなわり、さまざまな顔を見せる、全国でも珍しいミュージアムです。

所蔵するコレクションの多彩さもすばらしく、国宝2点、重要文化財29点を含む、10,000点を超える作品は、まさに圧巻。アート好きな人をきっと満足させる美術館と言えるでしょう。

和泉市久保惣記念美術館|大阪府和泉市内田町3-6-12 TEL. 0725-54-0001 10:00〜17:00(入館は〜16:30) 月曜休(祝日の場合開館、翌平日休)・年末年始休・展示替休あり 入館料:常設展…一般500円/高・大生300円/中学生以下無料(特別展、特別陳列は別料金) Pあり www.ikm-art.jp

「へ~、中国の青銅器からゴッホまで!こんなコレクションがあるんだ。」

大阪府南部の和泉市にある和泉市久保惣記念美術館は、地元で綿業を発展させた、久保惣株式会社と久保家が寄贈したもの。歴代の会社の代表者によって集められたコレクションを基盤に、増え続けた所蔵作品の数は、今では約11,000点! その中から、ほんの一部を、子どもたちと共に紹介します。

  • 青銅 饕餮文斝
    青銅 饕餮文斝
  • クロード・モネ 「睡蓮」
    クロード・モネ 「睡蓮」
  • 歌仙歌合(部分)[国宝]
    歌仙歌合(部分)[国宝]
  • オーギュスト・ルノワール 「花飾りの女」
    オーギュスト・ルノワール
    「花飾りの女」
  • 灰陶加彩 雲気獣面文鈁
    灰陶加彩 雲気獣面文鈁
  • 歌川国芳「猫の当て字 うなぎ」
    歌川国芳
    「猫の当て字 うなぎ」
  • アメデオ・モディリアーニ「イタリアの娘」
    アメデオ・モディリアーニ
    「イタリアの娘」
  • 宮本武蔵筆「枯木鳴鵙図」[重要文化財]
    宮本武蔵筆「枯木鳴鵙図」
    [重要文化財]
  • 十王経図巻(部分)[重要文化財]
    十王経図巻(部分)[重要文化財]
  • 青磁 鳳凰耳花生 銘万声[国宝]
    青磁 鳳凰耳花生 銘万声
    [国宝]
  • 青銅 菊花流水双鶴文鏡[重要文化財]
    青銅 菊花流水双鶴文鏡[重要文化財]
  • 葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」
    葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」
  • フィンセント・ファン・ゴッホ「耕す人」
    フィンセント・ファン・ゴッホ「耕す人」

日本の浮世絵から西洋美術まで、
その数、なんと11,000点!

和泉市久保惣記念美術館が所蔵するコレクションは、日本、中国などの東洋美術を中心に、多彩さを誇っています。日本絵画では、「伊勢物語絵巻」や「駒競行幸絵巻」(いずれも重要文化財)などの鎌倉時代の絵巻、葛飾北斎、歌川国芳などの浮世絵、珍しいものでは、剣豪・宮本武蔵の描いた絵画「枯木鳴鵙図」(重要文化財)なども所蔵しています。

中国美術では、古代から近世の青銅器や陶磁器、銅鏡のコレクションのほか、重要文化財の絵画として、五代時代の「十王経図巻」、元時代の「鍾馗図」も含む、充実したコレクションとなっています。

西洋美術では、モネ、ルノワール、ゴッホ、ピカソ、モディリアーニ、ロダンなど、20世紀を代表する作家による作品を新館にて展示しています。

年に6回、開催される展覧会もユニークなものが多いのも美術館の特徴です。2017年度は、『北斎の富士』、『ピカソと日本美術』、『中国の神々と神獣』、『墨の書画』などが開催され、注目を集めました。

和泉市の子どもアート教室。PICARO(ピカロ)
今回登場してくれているの5人の子どもたちが通う教室。イラストレーターでもある小宮さえこさんが、昭和レトロな民家で、それぞれの個性を生かして指導している。 大阪府和泉市唐国町1-10-60 【問合わせ】 090-6674-5361

「こ~んな広い美術館って初めて!」

  • 新館平常陳列室
    中川心葉ちゃんが鑑賞しているのは、中国古代の青銅器。平成9年に開館した新館には、モネやロダンが置かれる西洋近代美術展示室、ティールーム、ミュージアムショップもあります。
  • 新館から本館への石畳
    吉田直都くん、天雅くん兄弟が立つのは、新館から本館へとつながる通路の石畳。脇には、モネの作品にちなんだ睡蓮の池があり、6月から8月にかけては、白、赤、黄の花が見事に咲き、美しい。
  • 中国石造美術展示室
    高宮悠央くんと並んで鎮座するは、石造獅子。9世紀の唐時代、墳墓や建築物の入り口に置かれていました。本館には、中国の石造作品を特集した陳列室があります。
  • 茶室への石畳
    林心美ちゃんが向かおうとしているのは、茶室「聴泉亭」。昭和12〜15年に建てられた国の登録有形文化財建造物(平成18年度指定)で、展覧会期間中は、曜日と時間を定めて一般公開しています。

「美術館を寄贈した久保惣株式会社は綿業で成功したんだって。」

今では10,000点を超えるコレクションの基となったのが、久保惣株式会社、
久保家が寄贈した、500点あまりの美術品です。地元の名士について、ちょっと紹介。

広大な敷地と美術館建物、あわせて多数のコレクションを和泉市に寄贈した、久保惣太郎氏とはどのような人物だったのか? 久保家では、三代にわたり惣太郎が継がれました。初代は久保惣株式会社の創設者。和泉市の綿業繁栄の立役者となりました。初代が集めた富岡鉄斎の三幅の掛け軸が、多彩な久保惣コレクションのはじまりとなります。

二代目は茶の湯を好み、美術館内に残る茶室「惣庵」(非公開)、「聴泉亭」を昭和12〜15年に建てました。三代目は、東洋古美術を中心に名品を多数集め、昭和53年に、国宝2点、重要文化財28点(当時)を含む500点余りの美術品、土地、建物、さらに3億円の運営資金を和泉市に寄贈します。これを基に、市は、昭和57年10月に和泉市久保惣記念美術館をスタートさせました。コレクションの寄贈は三代目が中心となりました。

その後、平成9年には、久保惣代表者の五代目にあたる恒彦氏が新館を寄贈し、久保家の文化貢献が継承されています。泉州が誇るべきミュージアムは、綿業で栄えた名家のこうした功績なくしては、成り立たなかったのです。

和泉市の子どもアート教室「PICARO」に通う、林心美ちゃんが描いてくれた初代の久保惣太郎さん。明治18年に綿布製造を始め、それまで、これといった産業がなかった和泉市内田町で、綿業を発展させます。

「綿業が盛んだった頃の家並みが、内田町にはまだ残ってるよ。」

美術館ができるきっかけとなったと言っていい和泉市の綿業。
美術館を出て、ちょっと歩くと、往時の名残がある街並みが今も残ります。

和泉市久保惣記念美術館がある内田町は、かつて織物で栄えた町。美術館を出てふらっと歩くと、家紋が堂々としている家、石積みの塀を持つ家など、立派な日本家屋が次から次と現れます。

地元のことに詳しい、和泉内田郵便局の辻局長にお話をうかがったところ…。
「内田村は、もともと山間の寒村で、特に産業もなく、米や麦、それに綿とみかんの栽培をする、どこにでもある農村だったんですよ。そんなおり、初代・久保惣太郎氏が、綿から糸を繰り、白木綿を手織りし売り出すようになったのが、綿業活性化のはじまりですね」。

往時の活況は、今ではほとんど見られませんが、中塚織布株式会社など、現役で稼働している工場もあります。

ぐるっと歩いて、およそ20分ほど。ミュージアムを楽しんだあとに、町をゆっくり散策してみるのもいいですね。